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ニューヨーク・ワイン・クラシック2023の最優秀白ワインを受賞した、バウンダリー・ブレイクスの”珍しい“ワイン

ニューヨーク・ワイン・クラシック2023の最優秀白ワインを受賞した、バウンダリー・ブレイクスの”珍しい“ワイン

2023年のニューヨーク・ワイン・クラシック・コンペティションで驚くべきことが起こった。白ワインのトップは2022年のゲヴュルツトラミネールだったのだ。しかも中辛口のゲヴュルツトラミネールである。

しかし、セネカ湖畔のローダイで妻のダイアナ・リトルとバウンダリー・ブレイクスを共同経営するブルース・マレーにとって、彼のワイナリーのこの特別なボトルが好評だったことに驚きはなかった。

「ゲヴュルツトラミネールは、必ずしもナンバーワンのワインではありません。ただ、このワインは、古典的なアルザスのリッチで花のようなゲヴュルツトラミネールの味わいを持ち、その点で際立っていたと思います。」

リースリングやカベルネ・フランの産地として知られるこの地方で、ゲヴュルツトラミネールが最優秀白ワインに、ブラウフレンキッシュ(ケウカ・スプリング・ヴィンヤーズ)が最優秀赤ワインに選ばれたことは、興味深いことだとマレーは考えている。

「正直なところ、どうやって決定されているのかわからないよ。」と彼は言う。とはいえ、審査基準を理解していないわけではない。

コンペティションでは、ニューヨーク・ワイン&グレープ財団はシカゴのビバレッジ・テスティング協会(Beverage Testing Institute)と提携し、飲料ディレクター、ソムリエ、トップ・バーテンダー、小売のバイヤー、教育者で構成される訓練された官能パネルのテイスター・チームが、ニューヨーク中の108のワイナリーから提出された749のエントリーを採点した。全体として、BTIは合計10個のプラチナメダル、320個のゴールドメダル、294個のシルバーメダル、81個のブロンズメダルを授与した。

珍しいワイン

結局のところ、マレーは、シェルドレイク・ポイントのヘッド・ワインメーカーでもあり、フィンガー・レイクスで20年の経験を持つワインメーカー、デイブ・ブリーデンが、この年のブドウから素晴らしいワインを造ったからだろうとまとめた。

「このゲヴュルツトラミネールの場合、ヨーロッパのアルザスのゲヴュルツトラミネールがどのようなものなのか、例えばアルザスのツィント・フンブレヒトのような生産者のものがどのようなものなのかを示す、完璧なベンチマークだと思う。」とマレーは言う。

その理由は2つある。

第一の理由は2021から22年にかけての冬のコンディションだ。霜と寒害によって収量が減少し、成長した果実がより熟しやすくなった。

"フィンガー・レイクスでは真冬の寒波が果実を間引く。それが自然のやり方だ。 "とマレーは言う。

この2つ目の理由は、2022年の生育期が非常に暑く、非常に乾燥していたため、どの品種も果実が小さく、果汁が凝縮していたことだ。

「すでに寒害などによって収量が減少しているにもかかわらず、果実が非常に小さく、果汁が凝縮していた。」と彼は言う。

葡萄は非常に高いBrix-23.5で収穫された。もしワインが完全にドライに発酵していたら、アルコール度数は14.5%から15%になっていただろう。だからオフ・ドライのスタイルになったんだ。」

バウンダリー・ブレイクスのチームがその珍しい果実からできたワインを初めて試飲したとき、「これは素晴らしいワインだとみんな言っていたよ。」とマレーは述懐する。

その素晴らしいワインは "25年は熟成可能 "であり、熟成するにつれてアーシーさが増し、より興味深い味わいになるとマレーは信じている。10年から15年経った頃が、このワインの熟成の頂点だ。

土壌も助けに

「ワインはブドウ畑から始まる、というのは決まり文句です」とマレーは言う。

しかし、それは嘘ではない。マレーとバウンダリー・ブレイクスのチームは、ブドウ畑の土壌の健全性に真剣に取り組んでいる。

除草剤、肥料、などのあらゆる種類の追加資材を地面に投入する代わりに、外部からの投入を最小限に抑え、土壌の基本的な健全性を最大限に高めている。

「これはオーガニック・モデルでもなければ、バイオダイナミック・モデルでもありません。」こういったことを行なっているのは彼らだけでないと付け加えながら、マレーはこのように述べる。「これはある意味、古典的な農業の土壌健全化です。土壌中の有機物やその他の微量栄養素を測定することから始まります」。

彼らがやっていることは、再生農法と呼ばれることが多い。

「私たちは多くの本を読みました。カリフォルニアの他の人たちがやっていることも見ています。そしてこれはすべて、私たちにとって理にかなっているのです」と彼は言う。

彼は農薬会社に年間数万ドルも払いたくないのだ。彼のワイナリーがそのようなことをしなくても済むようにする方法は、土壌の扱い方において、不耕起栽培やカバークロップの管理などのような異なる一連の慣行を採用することだ。

「一般的にワインのセクシーな部分ではない」と彼は認める。「ブドウの木の間に何種類のカバークロップを植えているのか?いつ圧着するのか?これは農家の中の非常にマニアックな話だ。」

しかし、農家のマニアックなことが、受賞したゲヴュルツトラミネール(現在もワイナリーのテイスティングルームで販売中だ。)を含む、本当に素晴らしいワインを生み出すのだ。

「受賞は本当に素晴らしい。そして、素晴らしい仕事をしているニューヨーク・ワイン・アンド・グレープ財団に脱帽です。本当に感謝しています。でも結局のところ、人々はそれぞれの好みのワインを見つけなければならない。我々のこのワインの品質を向上させる努力や、影響を与えるのに何年もかかるようなことをやっていても、その努力が終わることはないんだ」。

言い換えれば、セクシーではない農業のマニアックなことはうまくいっているといえるでしょう。

バウンダリー・ブレイクス 2022 ゲヴェルツトラミネール

ワインメーカー・ノート

ゲヴェルツトラミネールは "冷涼気候 "の品種。つまり、果実は長い成長期を通して、収穫まで酸味を保つ。その結果、リッチでアロマティック、食事に合うワインになる。

この品種はリースリングよりも早く収穫する。爽やかでクリーンな明るいワインを造るのに十分な酸を確保したいからだ。このように成熟段階の初期では、果実はよりミネラルとスパイスを持ち、遅い時期に収穫された果実よりも華やかさが少ない。その結果、私たちのゲヴェルツトラミネールは、バラの花びらや香水の強いノートを示すゲヴェルツトラミネールよりも、はるかに繊細でアーシーなキャラクターがある。

今年度のニューヨーク・ワイン・クラシックの詳細はこちら

※本記事はワインライターのKathleen Willcox and Robin Shreeves がNYワイン&グレープ財団のために執筆した記事の抄訳版です。