みなさんは、ニューヨークワインを飲んだことがありますか?
カリフォルニア、ワシントンに続いて米国3番目の生産量を誇るニューヨークワイン。200年にわたる長い歴史の中で、世界トップクラスの才能溢れる人々と投資を引き寄せ、国際的に注目を集めるニューヨークワインの魅力-歴史と産地の特徴をご紹介します。
ニューヨークから僅か1時間車を走らせれば、コンクリート・ジャングルに覆われた5つの自治区が、およそ28万ヘクタールの起伏のある農地が広がる7つのワイン産地に移り変わります。
海洋地域と大陸地域の両方を含む、ユニークな冷涼気候を持つニューヨーク州でのワイン造りには、アメリカの他のワイン産地では見られない粘り強さが必要です。しかし、テロワールと気候のこの困難な組み合わせこそが、世界トップクラスの才能溢れる人々と投資をこの地域に引き寄せているのです。それが、ニューヨークを世界有数のワイン生産地域のひとつにしている理由でもあります。
ニューヨーク州は、それぞれの地域のテロワールとブドウ品種の個性を表現し、非常にドリンカビリティのあるワインを造っています。さらに多くの場合、長期熟成可能でもあります。60種類以上のブドウ品種を栽培し、30ヵ国以上に輸出し、地元および世界の人々を喜ばせるワインを造っています。そして、200年にわたる長い歴史にもかかわらず、挑戦的なアウトサイダーや、時に破壊的ですらある、成功を夢見る人々に満ちたこの地域は日々革新を続けています。
Brotherhood Winery
北米の東海岸沿いで見られる固有品種の多くは、マスカディン(ヴィティス・ロトゥンディフォリア種)でした。そして1562年にスカッパノンというブドウ品種から北米初のワインが造られました。
固有品種とヨーロッパ品種(ヴィティス・ヴィニフェラ種)を交配することにより、ハイブリッド品種が生み出されました。これらのハイブリッド品種は、北米のブドウ品種が持つ病気や害虫に対する耐性とヨーロッパ品種の優れた品質を掛け合わせています。固有品種とハイブリッド品種の両方のブドウ品種により、アメリカ全土にワイナリーを設立することが可能になりました。
1829年に遡ると、ウィリアム・ワーナー・ボストウィック牧師によってイザベラ(固有品種)とカタウバ(ハイブリッド品種)がニューヨーク州のフィンガー・レイクスに植樹されました。その後70年間は、固有品種とハイブリッド品種が主要なブドウ品種となり、ワインメーカーはスパークリングワイン、甘口ワイン、酒精強化ワインを主に生産しました。その中にはヨーロッパの品評会で高評価を受賞したワインもあり、実質的にニューヨーク州を世界のワイン地図に載せることになりました。 しかし、次いで起こったことが、ニューヨーク州、そしてアメリカのワイン業界を大きく変えることになりました。
さまざまな社会的および政治的な流れ(女性解放運動や都市の飲料水の浄化を含む)は、1920年から1933年まで施行された禁酒法(アルコール飲料の製造、輸入、輸送、販売を禁止する憲法修正第18条)に結実しました。
禁酒法以前には約2,500軒あったアメリカのワイナリーのうち、残ったのは100軒以下でした。
禁酒法以降、重要人物達がニューヨークのワイン産業を再建し始めました。例えば、1933年にフランス人醸造家のシャルル・フルニエはフランスのシャンパーニュ地方のヴーヴ・クリコ・ポンサルダンを離れ、アーバナ・ワイン・カンパニー(ゴールド・シール・ワイナリー)に入社しました。彼はフレンチ・アメリカン・ハイブリッド品種(ヴィティス・ヴィニフェラ種とアメリカ原産品種を掛け合わせたブドウ品種)をニューヨークに導入したと言われていて、フィンガー・レイクスでのヴィティス・ヴィニフェラ種の実験の支持者でもありました。
1960年代から1970年代初頭にかけて、ハドソン・ヴァレーに位置するベンマール・ワイン・カンパニーとカスケード・マウンテン・ヴィンヤード、フィンガー・レイクスに位置するブリー・ヒル・ヴィンヤーズとドクター・コンスタンティン・フランク・ヴィニフェラ・ワイン・セラーズなど、いくつかの主要ワイナリーが設立されました。
ウクライナ移民のフランク博士は、1950年代初頭にフィンガー・レイクスに到着し、最初はニューヨーク州農業試験場で、次にゴールド・シール・ヴィンヤーズでシャルル・フルニエとヴィティス・ヴィニフェラ種の実験を始めました。ヴィティス・ヴィニフェラ種からワインを造る過去の実験は、ブドウ樹がニューヨークの厳しい気候や病害に耐えられなかったため失敗に終わっていました。しかし、フランク博士はニューヨークに適した穂木と台木の組み合わせの開発に成功し、ブドウ樹は過酷な環境下でも生き残り、商業化への道が開かれました。その後、1962年に彼の名を冠したワインのファースト・ヴィンテージがリリースされました。
コンスタンティン・フランク博士は「ヴィニフェラ革命」の火付け役として広く認知されています。
ドイツ移民のハーマン・J・ウィーマーは1973年に土地を購入し、ヴィティス・ヴィニフェラ種の中でも特にリースリングの栽培実験を行い、大成功を収めました。ワイナリーとブドウの種苗場は現存しています。
同年、ノース・フォーク・オブ・ロングアイランドにあるブドウ栽培家のアレックスとルイーザのトーマス・ハーグレイブ夫妻は、地元の気候がカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールの栽培に適することを期待して、カチョーグに最初のヴィティス・ヴィニフェラ種を植えました。ハーグレイブ・ヴィンヤードは、ロングアイランドで最初に成功した商業用ワイナリーとなりました。
歴史的に、ニューヨークのブドウ栽培家は、彼らのブドウを毎年購入するいくつかの大規模ワイナリーに依存していました。また、大規模ワイナリーは、ワインにボリューム感と風味を加えるために、カリフォルニアのバルクワインを購入して、ハイブリッド品種で造られたニューヨーク産ワインとブレンドすることも広く行われていました。 しかし1970年代になると、カリフォルニアの大手ワイナリーとの競争が激化し、消費者はヴィティス・ヴィニフェラ種で造られた辛口ワインを求めるようになりました。 このため、ニューヨーク州の大手企業は、ハイブリッド品種で造られた甘口ワインの売上低下に苦しみ始めました。ニューヨークのワイン産業は、それに適した新しいビジネスモデルと新しいワインを造る必要がありました。
1976年、ニューヨークにおいて「ファームワイナリー法」が施行され、年間5万ガロン(約19万リットル)未満の生産に対する免許税が大幅に引き下げられ、新世代のワイナリーが誕生しました(その後、免許税の制限は15万ガロンに引き上げられました)。この法律により、生産者が自身のブドウから造ったワインを消費者に直接販売できるようになりました。
当時、ニューヨークにはワイナリーが14軒しかありませんでした。現在のワイナリー数は440軒以上!
ニューヨーク州初のファームワイナリーであるベンマール・ワイン・カンパニーと同様、新しいワイナリーのほとんどは小規模な家族経営ワイナリーであり、生産本数が少なく、プレミアムなヴァラエタルワインの生産に注力しています。多くのワイナリーで、ワイナリーツアーやテイスティングも提供されており、毎年300万人以上の観光客がニューヨークのワイナリーを訪れています。
ニューヨークのブドウおよびワイン生産地域は、メディアや業界によって国内および国際的に注目されており、ワイン評論家やワイン雑誌の編集者が毎年その動向を追っています。フィンガー・レイクスやロングアイランドなどの一部の地域には、リースリング、シャルドネ、カベルネ・フラン、メルローなどの品種で高い知名度を誇る生産者がいます。
ワイン産業における様々な取り組みは、ニューヨークのワイン産業の基盤です。生産者の中には、アカシアの木樽やパンチョンやフードルなどの大樽、陶器のアンフォラや卵型コンクリートタンクに至るまで、発酵と熟成にさまざまな容器を使用している人もいます。
スキンコンタクトを行ったワインを造る生産者もいます。テロワールを表現することは常に念頭に置かれており、単一区画のワインを瓶詰めする生産者も増えています。ワイン業界はサステナブルな取り組みをしており、太陽光発電の導入や軽量のガラスボトルの使用を増やしています。
「その地域や土地の強みや特徴、そして偉大なヴィティス・ヴィニフェラ種を栽培する環境から造り出される、白ワイン、赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワインによって、ニューヨーク州の各地域のワイン造りは急速に多様化しています。」ウィリアム・マキルヘニーによる250種類のニューヨーク州ワインの2021年のレビューより。
「最も重要なのは、現状を超えていくことを恐れないワイン生産者の大胆で寛容なマインドです!」
ニューヨーク州は南北に530km、東西に455km、面積は141,300平方kmです。北緯40度から45度、北緯28度から50度の世界のワインベルト内に位置しています。
テロワールと気候のユニークな組み合わせにより、ニューヨークはアメリカ東部の主要なワイン生産地域の1つとなっています。
World Wine Belt. Credit: Dan Belmont
約160万年前の氷河期に、ニューヨークは厚さ1マイル
(約1.6キロ)を超える氷河に覆われました。約1万年前に氷河が溶けたとき、その結果として生じた氷蝕や溶けた水の圧力、氷河の堆積によって、今日のニューヨーク州の理想的なブドウ栽培地域が形成されました。
ニューヨークは、それぞれが類似した地質構造を持つ13の異なる地域に区分することができます。それぞれのブドウ栽培産地は、5つの地域にまたがるハドソン・リヴァー・リージョンを除き、これらの地域のいずれかに含まれています。
天候もニューヨーク州のブドウ栽培に大きな影響を与えています。
実際には、アメリカを東に移動するほぼ全ての嵐と前線が、ニューヨーク州またはその近くを通過することで、同規模の地域内では通常見られない多様な温度帯を生み出します。
北極の乾燥した気団がカナダ中部やハドソン湾から南に流れ込むと、ニューヨークに寒気が襲来します。
南からは持続的な南風および南西風が、メキシコ湾から暖かく湿った空気を運びます。時々発生する、第3大気団が北大西洋から内陸に流れ込み、冷涼で曇が多く、湿った気象条件を生み出します。
この循環により、夏は湿気が多く、秋、冬、春には穏やかな気候をもたらします。
ニューヨークには7つの政府認定ブドウ栽培地域(AVA)と4つのサブAVAがあります。これらはブドウの栽培方法に影響を与える特定の地理的または気候的特徴を持ち、境界線が定められたブドウ栽培地域です。周囲の地域と区別されており、その地域のテロワールの個性を反映したワインを生み出します。
ニューヨーク州内に完全に含まれていない唯一のAVAは、ニューヨーク州、ペンシルベニア州、オハイオ州にまたがるレイク・エリーAVAです。
ニューヨーク州は6つの主要なワイン産地から構成されています。産地の特徴をご紹介します。
ハドソン・ヴァレーには、ハドソン・リヴァー・リージョンAVA(ニューヨーク州の州都オールバニーの南部)とアッパー・ハドソンAVA(オールバニーの北部と西部)が含まれます。ハドソン・ヴァレーは、長年にわたる農業とブドウ栽培の歴史によって特徴付けられています。長さ507キロのハドソン川は、平野と丘陵地帯全体に見られる多様な沖積土壌と微気候を形成しています。
米国で最も古く、歴史的に最も重要なワイン産地の1つであるハドソン・リヴァー・ヴァレー。ニューヨークのワイン産業の成長を支えた革新的なパイオニアとして評価されています。
ハドソン・リヴァー・リージョンAVA
設立:1982年6月4日
ブドウ品種:ハイブリッド品種と
ヴィティス・ヴィニフェラ種
サイズ:79ブドウ園、180ヘクタールのブドウ畑
生育期間の平均日数:~190日
アッパー・ハドソンAVA
設立:2018年12月6日 (最新AVA)
ブドウ品種:ハイブリッド品種と
サイズ:43ブドウ園、47ヘクタールのブドウ畑
生育期間の平均日数:~155日
Baco Noir
ハドソン・ヴァレーは、ハドソン・リヴァー・リージョンAVAのセイヴァル・ブラン、カユガ・ホワイト、バコ・ノワール、マレシャル・フォッシュ、トラミネット、アッパー・ハドソンAVAのマルケッテ、フロンテナック、ラ・クレセント、ラ・クロスなど、フランスとアメリカのブドウ品種の交配品種によって発展してきました。カベルネ・フラン、ピノ・ノワール、シャルドネ、リースリング、アルバリーニョ、ガメイなどのヴィティス・ヴィニフェラ種の栽培も増えています。
ニューヨーク北西部のフィンガー・レイクス地域は、米国で最も深い淡水湖のひとつであり、絵のように美しく幅の狭い氷河湖の集合体として知られています。11の湖のうち、カナンデイグア湖、キューカ湖、セネカ湖、カユガ湖は、冷涼気候のワイン生産地域の中心にあります。湖それぞれの名前はアメリカ先住民の言葉で、カナンデイグア「選ばれた場所」、キューカ「カヌー乗り場」または「曲がった湖」、セネカ「石の場所」、カユガ「船着場」を意味しています。セネカ・レイクとカユガ・レイクはユニークな気候条件を持つためAVAとして認定されています。
過去20年で、フィンガー・レイクスは北アメリカで最も冷涼な気候のワイン生産地域、特にリースリングの一大産地として有名になりました。
フィンガー・レイクスAVA
設立:1982年9月1日
カユガ・レイクAVA—1988年3月25日設立
セネカ・レイクAVA—2003年7月3日設立
ブドウ:固有品種、ハイブリッド品種、ヴィティス・ヴィニフェラ種
サイズ:423ブドウ園、4,333ヘクタールのブドウ畑
生育期間の平均日数:~195日
ヴィティス・ヴィニフェラ種は、フィンガー・レイクスのワイン産業を経済的に支えている基盤です。
白ワイン:フィンガー・レイクスで造られるリースリングの大部分は、果実味とフレッシュ感を高めるために培養酵母で発酵されています。また野生酵母での発酵、低温浸漬、シュール・リー(澱との熟成)、大きな古樽を使用する生産者も多くいます。その他の優れた白ワインには、シャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ルカツィテリ、ソーヴィニヨン・ブランなどがあります。
辛口ロゼワイン:辛口ロゼワイン:主にカベルネ・フランから造られ、熱狂的なファンを獲得しています。その他のブドウ品種には、ピノ・ノワール、ブラウフレンキッシュ、サペラヴィなどがあります。
赤ワイン:樽熟成のカベルネ・フランが最も一般的ですが、樽を使用しないカベルネ・フランも非常に高く評価されています。ピノ・ノワールも高く評価されています。
スパークリングワイン:スパークリングワインの製法は、固有品種とハイブリッド品種を使用した炭酸ガス注入法およびシャルマ(タンク)方式から、シャルドネとピノ・ノワールを使用した伝統的(シャンパーニュ)製法まで多岐にわたります。ドイツのゼクトに倣った、リースリングから造られるスパークリングワインも、生産量および人気、名声において急速に成長しています。
レイク・エリーAVAは、エリー湖の南岸に沿って約22.5キロにわたって続く、水はけの良い暖かい土壌のある産地です。全長約85キロのブドウ栽培地域は、オハイオ州、ペンシルベニア州、ニューヨーク州にまたがっています。エリー湖が気候を緩和し、エリー湖断崖(アレゲニー高原の一部)がブドウ畑を保護してくれます。エリー湖と地形の効果により、秋の気温が高くなるためブドウの成熟が長くなり、春の気温が低くなるため芽吹きが遅くなり、霜害を防止します。その結果、生育期間が長くなります。
現在、この広大なブドウ地帯には338のブドウ園があり、ニューヨーク州の総ブドウ栽培面積積の 54%を占めています。
レイク・エリーAVA
設立:1983年10月21日
ブドウ:コンコード、少量のヴィティス・ラブルスカ種、ハイブリッド品種、ヴィティス・ヴィニフェラ種
サイズ:338ブドウ園、7,275ヘクタールのブドウ畑
生育期間の平均日数:~200日
ニューヨークの最北端の地域では、寒い冬と短い生育期間によって、アイスワインを生産することが可能です。適切な条件が整えば、初霜が降りる時期から早いときは10月頃、遅いときは12月上旬まで、ブドウ樹に健康なブドウがついたまま、収穫を待つこともあります。
ニューヨーク州の南東端にあるロングアイランドは、イースト川から大西洋に伸び、ロングアイランド湾を背負うアメリカ最大の島です。ロングアイランドAVAは島東部の2つの郡(ナッソー群とサフォーク群)の全域であり、90社あるワイナリーの大半はサフォーク郡東部にあります。
半島には、それぞれ独自のAVAがあります。ノース・フォーク・オブ・ロングアイランドAVAは、サウス・ フォークとペコニック湾によって大西洋から保護されています。1973年に最初のブドウが植えられた のはノース・フォーク・オブ・ロングアイランドAVAです。ザ・ハンプトンズ・ロングアイランドAVAはサ ウス・フォークにあり、大西洋からの影響を直接受けるためブドウ畑は少なくなります。(が、ここには 多くのセレブが集います!)
ロングアイランドAVA
設立: 2001年5月15日
ザ・ハンプトンズAVAー1985年5月16日設立
ザ・ノース・フォークAVAー1986年10月10日設立
ブドウ:ヴィティス・ヴィニフェラ種
サイズ:53ブドウ園734ヘクタールのブドウ畑
生育期間の平均日数:~225日
赤ワイン:メルローは、ロングアイランドの多くの受賞歴のあるボルドースタイルのブレンドワインを生み出しています。ロングアイランドの砂、砂利、粘土質土壌はボルドーの土壌を彷彿とさせます。メルロー同様に人気があるのは、辛口の単一品種の赤ワインとロゼワインを造りだすカベルネ・フランです。
ロゼワイン:ロングアイランドのロゼワインは、ホームパーティーやビーチでの定番となり、地元の人々と観光客の両方に人気があります。
白ワイン:ロングアイランドのワイナリーは、これまでのオーク香が強すぎるスタイルを避け、より軽やかなスタイルの白ワインを造っています。また多くのワイナリーのテイスティングルームでは、爽快感のあるソーヴィニヨン・ブランを味わうことができます。
スパークリングワイン:ロングアイランドでは、シャルドネやピノ・ノワールなどの伝統的なブドウ品種を使用して、シャンパーニュ(伝統的)製法でスパークリングワインが造られています。そしてペティヤン・ナチュラル(アンセストラル製法)は、ほとんどのブドウ品種で造られています。
他にも、オーセロワ、ムロン・ド・ブルゴーニュ、シュナン・ブラン、アルバリーニョ、そして北イタリアの白ブドウ品種など、将来有望な白ブドウ品種があります。マルベック、ブラウフレンキッシュ、テロルデゴからも優れた赤ワインが造られています。
ナイアガラ地域は、ナイアガラ・エスカープメントAVAと断崖北部のナイアガラ湖平原というエリアが含まれています。AVAの名前は、五大湖地域を約1046キロ以上にわたって続く石灰岩の尾根、ナイアガラ断崖に由来しています。
ナイアガラ断崖は、ニューヨーク西部とカナダのオンタリオ州ナイアガラ地域の両方のワイン栽培に とって重要です。ナイアガラ断崖のニューヨーク部分は大陸性気候で、エリー湖とオンタリオ湖の両 方の影響を強く受けています。冬は寒く、ブドウに有害な一部の昆虫の越冬を妨げます。湖の効果で 寒さが緩和されるためブドウの生育期が延長され、高緯度のため夏は日照時間が非常に長くなります。
ナイアガラ・エスカープメントAVA
設立:2005年10月11日
ブドウ:固有品種、ハイブリッド品種、ヴィティス・ヴィニフェラ種
サイズ:58ブドウ園、431ヘクタールのブドウ畑
生育期間の平均日数:~205日
Niagara
・この地域には固有品種やハイブリッド品種が育まれた歴史がありますが、地球温暖化の影響と栽培技術の向上により、シャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、リースリング、カベルネ・フラン、ピノ・ノワール、サペラヴィなどのヴィティス・ヴィニフェラ種の素晴らしいブドウが栽培できるようになりました。ナイアガラ・エスカープメントAVAは辛口の白ワインと赤ワインに加えて、アイスワインを生産できる世界でも数少ない産地の一つとして知られています。
・ブドウ畑の適切な手入れと、地質と気候の組み合わせにより、ワインの風味と色合いが強まり、その高品質なワインに対する評判が急速に高まっています。
ニューヨーク北東部のシャンプレイン・ヴァレーは、西はアディロンダック山地、東はバーモント州のグリーン山地、南はタコニック山脈、北はカナダに隣接しています。ハドソン川が南に流れてニューヨーク市と大西洋に流れ込む一方、シャンプレイン湖は北に流れてセントローレンス川に至ります。シャンプレイン・ヴァレー・オブ・ニューヨークAVAの特徴は、比較的平坦な谷と周囲の山々の地形による冷涼気候と短い生育期間です。
シャンプレイン・ヴァレー・オブ・ニューヨークAVA
設立:2016年8月22日
ブドウ:ハイブリッド品種、固有品種、
少量のヴィティス・ヴィニフェラ種
サイズ:53ブドウ園734ヘクタールのブドウ畑
生育期間の平均日数:~160日
シャンプレイン・ヴァレーにおける比較的短いブドウの生育期間と寒い気候を考慮して、栽培されるブドウ品種は主にマルケッテ、フロンテナック、ラ・クレセントなどの耐寒性に優れたミネソタ系フレンチ・アメリカン・ハイブリッド品種です。生産者の中には、最も耐寒性の高いヴィティス・ヴィニフェラ種を少量栽培する人もいます。シードルやフルーツ・ワインも人気です。
ニューヨークワイン&グレープ財団は、世界に誇るニューヨーク州のブドウとワインのイメージを促進する活動を行っています。革新的なマーケティング、リサーチ、コミュニケーションと提唱を通して、ニューヨーク州の多様な産地、農家、生産者や消費者に対して責任をもって貢献します。